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漆の刷毛

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 先日買った、漆の刷毛です。
 普通の刷毛よりも、毛足が短くて、刷毛には見えないかもしれません。
 それに、普通の刷毛とは違う工夫がいろいろなされています。
 まず、普通の漆の刷毛に使われている毛は、人の髪の毛です。(この写真のものは、馬の毛)それを丁寧に梳いて、漆で固めてしまいます。
 そして、その周りを木の薄い板で囲んで貼り付けます。つまり、刷毛の末端にまで、毛が入っているのです。
 だから、先端の毛が磨耗してきたら、鉛筆のように周りの木の板ごと削って、新しく仕立て直すことができます。
 また、その削り方によって、毛足の長さを調節することもできます。
 そして、普通に見るペンキ用の刷毛よりも毛足が短いのは、漆というものが、粘度が高いからです。腰が強くなければ、漆を塗ることはできません。また、もしかしたら、漆というものが大変高価なものであるために、毛足が短いほうが漆を無駄にしなくてすむということもあるかもしれません。
 この刷毛を下ろすときは、毛の部分が、漆で固められていますので、金槌でたたいてやわらかくし、石鹸水で何度ももんで、その漆のくずをとる必要があります。
 何でこんな手間のかかることをしなくてはならないのか、疑問でした。刷毛を作るほうにとっても、使うほうにとっても、手間がかかるのに、なぜ毛を漆で固めなくてはならないのか。
 ひとつは、抜け毛の防止のためです。しかし、それだけではなく、もうひとつ理由があります。
 漆の刷毛は、作業が終わると、タネ油(サラダ油など)で洗い、漆ができる限り毛に残らないようにします。このタネ油は、漆を固まらせない性質を持っています。だから、次の作業の一番初めには、このタネ油を刷毛からとる作業から始まるのですが、毛の中のほうが、漆で固められていることによって、タネ油が中のほうまでしみこまないようになっているのです。
 そのことに気づいたのは、以前、安物の刷毛を使ってみたときです。どうも塗った漆が乾かないと思って、いろいろ調べるうちに、刷毛の毛がよく固められておらず、タネ油が中までしみこんでいるのに気づいたのでした。

 仕事のうちの、漆を塗る、ということだけのための道具で、本当に取るに足らないものといえばそうなのですが、ないと困るものです。その作業がスムーズに行くために、さまざまな工夫がなされています。
 これを作ることができる人も、大変少なくなりました。工芸は、このような道具一つ一つにも支えられていますが、その支えも危うくなってきています。
 でも、こういう道具って、なんか好きです。見ていても美しいと思うし、それを手にとって、使うことができるのは、幸せなことかもしれません。
 
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ルーシェンカ

Author:ルーシェンカ
長野県の小海町で家具を製作しています。
家具のこと、木のこと、森のこと、その他の身の回りのことを紹介していきたいと思います。
メールアドレス atsushitakahashi@nexyzbb.ne.jp

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