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正しい形

 自分のような、個人でものづくりをやっている、いわゆる作家のものを形容する言葉で、「個性」とか、「世界でたった一つのもの」なんていういいかたがあるけど、自分はそれにずっと違和感を感じてきた。
 自分は、普段の暮らしに役に立つものを作っているだけだと思っている。その役に立つ、というところには、機能性のことはもちろんあるが、それだけではなくて、それを使うことをうれしく思ったり、潤いやぬくもりを感じること、その存在そのものが飽きない美しさを持っていることなどが入ってくる。
 そのための素材には、やはり自然素材でなくてはならず、手仕事であることが必要なのだと思う。
 そして、そういったさまざまな条件から最適な答えを導き出すことがデザインであるのだけれど、これだけ沢山の要素があると、自分の頭だけで解を導き出すのは、容易なことではない。どれかの要素に偏ってしまいがちになる。
 そのことを個性と言ってしまえばそうなのかもしれないけれど、そういったものはバランスを欠いている事が多く、長くそばに置いていると、違和感を感じる。それではものとして成立しているとはいえない。
 そうではなくて、例えば料理で言えば、筑前煮とか、まあ何でもいいけど、昔からあるメニューがあるでしょう。そういうものをちゃんと作れるようになること。適切に素材を扱って、適切な手順にのっとってつくる。出す相手によって、調味料を加減したり、ゆで方を変えたりすることはあるかもしれない。それも適切にコントロールできるようになる。そういったことがものを作るうえでは大切なことなのじゃないかと、今は思う。
 述べて作らず。例えば、書道で、ひたすら古典の臨書をするように、昔からある形をまねて作る。それでいいような気がする。どの形を選ぶかが、もしかしたら個性と言えるのかもしれない。
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ルーシェンカ

Author:ルーシェンカ
長野県の小海町で家具を製作しています。
家具のこと、木のこと、森のこと、その他の身の回りのことを紹介していきたいと思います。
メールアドレス atsushitakahashi@nexyzbb.ne.jp

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